毎夜のように5万6万と散財するうち、1年も経たないうちに1,000万円は底を突いてしまいました。最初に次男はキャバレーの女性を頼りました。しかし、金のない次男を女性は冷たくあしらいました。つぎに、キャバレー代をおごってやった友人を頼りましたが、友人にも「援助できない」と断られました。あれほど楽しく笑い合った仲だと思っていた相手が、金の上の付き合いでしかなかったことを思い知らされました。

 頭の中を父と兄のことがよぎりました。しかし、頼ることはできないとサラ金に手を出しました。最初10万円借りましたが酒に溺れてばかりいて働くことをせず、期限が来ても返すことができませんでした。そこで別のサラ金から50万円を借り、最初に10万円借りたところに利子を含めて13万円を返済しました。すると手元に37万円が残りました。その金で再び友人を誘いキャバレーに行きました。友人もキャバレーの女性もまた以前と同じように自分に優しく接してくれるようになりました。

 そうする50万円の返済期限が来て、次男はまた別のサラ金から100万円を借り、利子を含めて65万円を返済しました。するとまた35万円が手元に残りそれを元手にキャバレー通いを続けました。

 やがて100万円の返済期限が来て、また別のサラ金から今度は200万円を借りようとしましたが、200万円ものお金を貸してくれるサラ金はどこにもありませんでした。しかたなく、4つのサラ金からそれぞれ50万円ずつ借りて200万円にし、利子を含めて130万円を返済しました。70万円が手元に残り、更にキャバレー通いはエスカレートしましたが、200万円の返済期限が来ても町に5つあるうちの4つのサラ金から借りいていたため、いよいよどこからも借りることができず返済に窮(きゅう)するようになってしまいました。
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