「五つのパンと二匹の魚」
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ちなみに、1デナリオンは1日のアルバイト代ぐらいだって言うから、仮に1日のバイト代を6,000円だとすると、200デナリオンはだいたい今の120万円ぐらいっていうことになる。パン1個100円として、12,000人分を買おうと思えば120万円必要だってことになるんだけど、でも、みんな100円のパン1個でお腹一杯になる?きっと、ならないよね。それに今の時代だってパンを12,000個も置いてる店なんて、そうそうあるわけないし、イエス様達がいた所は人里離れた所だったから、近くに店なんか一件もなかったと思うんだ。 分かっててイエス様はわざと「どこで買えばよいだろうか」ってフィリポさんに質問したんだね。フィリポさんは、「たとえそんなに沢山のパンを売ってくれるパン屋さんがあったとしても、200デナリオンじゃぁ、全員をお腹一杯にすることはできないでしょう。」って、本当は「無理」ですって言いたかったんだろうね。 イエス様はわざと、お財布係のフィリポさんに質問して、お弟子さん達に対して人の力では「できない」「無理」だってことを分からせた上で 「あなた方が彼らに食べる物を与えなさい。」 って言われたんだ。集まってきた人の中にはその日に食べる物もないくらい貧しい人たちも沢山混じっていたんだ。お弟子さん達はみんな、イエス様の出された難しい問題にどうやって答えを出したらいいか分かんなくて、困ってしまった。 その時、弟子のアンデレさん(アンデレさんはペトロさんの実の弟)が、5つのパンと2匹の魚を抱えた一人の男の子を連れてきたんだ。 (キャンプ当日は参加者の男の子に実際に五つのパンと2匹の焼き魚を籠に入れて両手に抱え立ってもらい、その場でちぎり分けて食べました) 今の日本みたいに、どこに行っても近くにコンビニがあるわけでもないし、この男の子が持っていたパンと魚は、もしかするとお腹が空いた時のためにって、お弁当代わりに持っていたものかもしれないんだけど、この男の子が仮に中学生ぐらいだとしても、パン5つと魚2匹は一人で食べる分にしては少し多い気がするんだ。そう考えると、この男の子はお家の人と一緒にそこに来ていて、「イエス様やお弟子さん達にこれを食べていただきなさい」って、献げ物のお使いを頼まれたんじゃないかと思うんだ。 本当のところお弁当だったのか、献げ物だったのかは分かんないんだけど、どっちにしてもアンデレさんのそばには、五つのパンと二匹の魚を持った少年が立っていたんだ。 それで、アンデレさんはイエス様に 「ここに大麦のパン五つと魚二匹とを持っている少年がいます。」 って言ったんだけど、続けて 「けれども、こんなに大勢の人では、これっぽっちの量じゃ何の役にも立たないでしょう。」って言って、フィリポさんと同じに「全員に食べ物を与えるのは無理です!」って答えたんだ。 |