「五つのパンと二匹の魚」

 イエス様に遣わされてあちこちに出かけていたお弟子さん達も、行く先々で「もっとお話を聞かせてください」「もっと病気を治してください」って大勢の人にせがまれて、ご飯を食べる間も寝る間もないほど忙しく過ごしていました。 

 お弟子さん達は、帰ってくるとイエス様に、行った先々での人々の様子や自分たちが行った奇跡について「先生、こんなことがありました」「先生、こんな人に会いました」「こんな病気を治しました」と、残らず報告しました。いったい、12人全員の話を聞くのにどれほど時間がかかったんでしょう。多分、聞くだけでも大変だったろうと思います。

 話を聞きながら、忙しく大変な思いをしたお弟子さん達を、イエス様は休ませてあげようと、船に乗りガリラヤ湖の反対岸にあるベトサイダという人里離れた所に行くことにしました。どうして人里離れた所に行こうと考えたかっていうと、イエス様はこの時イスラエルの超有名人になってて、沢山の人が「一度でいいからイエス様に会ってみたい」「病気を怪我を治してもらいたい」ってイエス様の所に押し寄せて来ていたからなんだ。

 今の時代、日本でも、ジャニーズやカッツン、関ジャニ8やニュース、モー娘なんかを追っかけ廻すファンがそれぞれ100人ぐらい、いるみたいだけど、イエス様の追っかけはそんなもんじゃなかった。大人の男だけで5千人って言うんだから、凄んごいよね。ただ、「キャーッ、イエス様ー!こっち向いてー!」って黄色い声を張り上げるファンとは違って、もっと真面目に「助けてください」って願っている人たちだったから、アイドルと単純に比較できないんだけど、新聞もラジオもテレビも電話もファックスもメールもインターネットも無い時代に、それだけ多くの人が集まるっていうのは、とっても凄いことだったんだ。